1999年に化粧品法が制定されるまで,韓国における化粧品規制は日本の薬事法に基づいたものであり,その法体系も類似していた。新たに化粧品法が制定された背景には,①外資系メーカーによる市場開放への圧力と,②国内産業の保護・発展という政府の意図があったと思われる。化粧品法は2015年5月まで16回の改正を重ねながら変貌していく。とりわけ,「機能性化粧品」のカテゴリー新設と政府によるR&D支援条項は,韓国化粧品の規制改革の大きな特徴と言える。厳しい「機能性化粧品」認定基準は,外資系メーカーより韓国メーカーに有利に作用した。また,政府によるR&D支援も,企業や産業の競争力強化に一助したと考えられる。このような規制改革の下で,韓国化粧品産業は,2012年から貿易黒字になるなど,その国際競争力を高めてきた。