日本家畜管理学会誌・応用動物行動学会誌
Online ISSN : 2424-1776
Print ISSN : 1880-2133
ISSN-L : 1880-2133
選択採食の指標としての混合飼料の粒度分布と選択採食の防止例
朴 修範岡本 全弘
著者情報
ジャーナル フリー

2008 年 44 巻 2 号 p. 166-170

詳細
抄録

飼料の小粒子を選択採食する傾向にあった放し飼い牛舎の牛群において、ペンシルバニア篩により混合飼料(TMR)の粒度を測定した。この牛群の4月から9月までの平均日乳量は29.1kgであり、乳脂率は3.50%であった。直径19mの穴を持つ篩上に残ったTMR中の大粒子の割合は飼料給与後3時間以内に40.3%から69.7%に増加した。これは主要な選択採食か3時間以内に終了したことを示す。TMRの帯状堆積内の位置により、粒度変化の速度が異なった。採食中、10分毎に測定した粒度変化により、堆積上層における選択採食けほぼ30分以内に終了することが示唆された。TMRに混合するグラスサイレージを10月上旬に切断長の短いものに変更した後、TMRの給飼直後における大粒子の割合は20%以下になった。採食による粒度変化の速度は低下し、大粒子の割合が50%に到達するのに12時間以上を要した。また、TMRの堆積の上層や下層において、1時間以内に粒度に目立った変化は観察されなかった。サイレージを切断長の短いものに変更後、乳量は変化しなかったが、1ヶ月以内に乳脂率が4. 36%に上昇した。以上の結果、サイレージの切所長が長く、TMRの大粒子の割合が30%以上の場合には選択採食は避けられないが、20%未満の場合には実質的に問題とならない水準まで選択採食を抑制できることが示唆された。

著者関連情報
© 2008 日本家畜管理学会・応用動物行動学会
前の記事 次の記事
feedback
Top