本試験では自動搾乳システムを活用している酪農場における牛舎飼槽での給与される混合飼料の状況や自動搾乳機内での配合飼料の給与量を調べ、乳牛の自動搾乳機利用(進入回数や搾乳回数)との関係を検討した。調査は15戸(18群)の日本国内の酪農場にて、2014年11月から2015年11月までの期間に行った。いずれの酪農場においても、双方向移動型牛舎であった。各酪農場に訪問した前日から7日間遡及しデータを得た。あわせて牛舎内飼槽で給与した基礎混合飼料および自動搾乳機内で給与した配合飼料の状況を調査した。各乳牛群の平均進入回数は2.9〜5.9回/日の範囲にあった。また、搾乳回数は、2.3〜3.6回の範囲にあった。平均進入回数と平均搾乳回数に有意(P<0.05)な正の相関が認められた。また、両者の関係は、y=-6.6/x+4.5 (r=0.738, y:平均進入回数、x:平均搾乳回数)で示された。飼養頭数と平均進入回数には2次曲線的関係が認められ、飼育頭数が41頭あたりで進入回数が極大値(約4.7回/日)となることを示していた。全牛群(18牛群)を用いた自動搾乳機における平均配合飼料給与量と平均進入回数の間に関連性は認められなかった(P=0.08)が、実乳量が基礎混合飼料の生産可能乳量より低い2牛群を除くデータから、y=-2.07x+0.28x2+7.36 (y:平均進入回数、x:平均配合飼料給与量)なる有意(P=0.004)な関係が認められた。この式から、配合飼料給与量が3.7kg/日以上で、自動搾乳機内での配合飼料給与量増加に伴い牛群の進入回数が増加することが示された。