抄録
ナミハダニモドキは日本各地のクズに寄生し,葉上に目立つ褐色の食害痕を出すが,その生態は不明である.本研究では,寄主植物の面から害虫化する可能性を推測するため,各地から採集したナミハダニモドキの5個体群について,それらの寄主範囲を検討した.供試した12科23種の植物のうち,5個体群すべてに共通する寄主植物は4科9種類であった(ダイズ,リママメ,インゲンマメ,クズ,ササゲ,ホウレンソウ,スモモ,バラ,クワ).スイカとイチゴでは,名護(沖縄県)の個体群を除く4個体群,ナスでは常陸太田(茨城県)を除く4個体群がそれぞれ良好な発育と産卵数を結果し,寄主植物であった.このように,本種はナミハダニやカンザワハダニなどの広食性で害虫種となっているハダニと同等の広い寄主範囲をもつことが分かった.ナミハダニモドキは広食性であり,25℃における内的自然増加率(rm)は同属のナンゴクハダニに次ぐ高いものであったことから,本種が農生態系に侵入した場合,重要な害虫になる可能性が考えられた.