不安障害研究
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総説
緩和ケア領域における不安へのアプローチ
藤澤 大介
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2014 年 5 巻 2 号 p. 93-101

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抄録

不安は,生命にかかわるような重篤な身体疾患の患者や家族において,とても頻度が高い症状である。不安症状が介入の対象となるのは,①患者が不安を苦痛に感じている場合,②不安に伴う機能障害を生じている場合,の二つの場合である。鑑別診断に引き続き,重症度(苦痛,機能障害の程度),時期(時間とともに自然回復する余地があるか)を評価し,それに応じて支持的な対応で経過をみるか,より進んだ介入を行うかを判断する。全般的な支援(支持的な対応)と専門的な支援(薬物療法,精神療法)を使い分ける。身体予後が厳しい患者の忍容性の低下のため,抗うつ薬や抗不安薬よりも少量の抗精神病薬が第一に選択されることが多い。リラクゼーション法,心理教育,支持的精神療法,認知行動療法,などさまざまな精神療法の有効性が実証されている。代替療法の有効性も実証されつつある。患者が通常最も望んでいるのは,「精神ケア」よりも,「長生きできること」「身体的に元気でいること」などであり,患者が求めている目標に合わせた形で,精神医学的評価と方針を共有できると良いだろう。

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© 2014, Japanese Society of Anxiety Disorder
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