抄録
処分環境下での人工バリア材(セメント等)の長期的な核種閉じこめ機能を把握するため、地下水中の共存イオンとセメントとが二次鉱物を生成することによる透水性の変化を評価することを目的として、長期通水時のセメント透水挙動解析を行った。解析手法はセメント溶解モデルと移流拡散計算により構成されている。セメントの溶解モデルとして、Bernerの溶解平衡モデル、Taylorの分配平衡モデル、調和溶解モデルを使用し、地球化学コードPHREEQEにより評価した。透水係数は、Kozeny-Carmanの式を使用した。浸透流はダルシー則に従うものと想定した。通水実験に用いられたセメント試料は円柱形で、上面中央部に凹みを設けてある。解析ではセメント試料は平板体系で模擬した。実験で見られた凹みの縁から斜め下方に空隙が広がっている様子が再現でき、手法の妥当性が示された。