核融合炉配管からのトリチウム漏洩を抑制するための透過防止膜の開発が要望されており、我々は複雑形状への施工に適する湿式法による成膜技術の開発を進めている。これまでにゾルゲル法・電解法・浸漬法で成膜したリン酸塩/酸化物多層膜が透過抑制に有効であることを発表してきたが、システム内のトリチウムインベントリーを低減するには、透過速度のみならずトリチウム保持量も小さいことが望まれる。そこで本研究では、上述の手法で成膜したZrO2/ZrO2膜およびZrO2/ZrO2/リン酸Mg膜をトリチウムガスに曝露し、膜中のトリチウム濃度をイメージングプレート法およびβ線誘起X線計測法で測定した。リン酸Mg中のトリチウム濃度はZrO2に比べ2桁程度低く、リン酸塩層の形成が透過抑制のみならずトリチウム保持量の低減にも有効であることがわかった。