抄録
高速炉燃料の経済性を向上させるために燃料-被覆管化学的相互作用(FCCI)の抑制は重要な課題である。本研究では次世代高速炉燃料被覆管材として考えられているフェライト系材料に対してCs-Te腐食試験を行い、FCCIの重要なパラメータである酸素ポテンシャルと腐食の関係について調査した。使用した試料はPNC-FMS鋼(30mm×3.7mmφ)、模擬FPはCs:Te=1mol:1mol、温度は650℃、試験時間は10,100,300h、酸素ポテンシャルはMo/MoO2、NbO2/Nb2O5バッファ材で制御し腐食試験を行った。試験後、試料断面を走査型電子顕微鏡(SEM)観察、EDSによる元素マッピングを行なった。 実験の結果より、腐食の形態は粒界腐食であり、Te、Csの浸食、Cr、Feの粒界に沿った溶出が見られた。現在NbO2/Nb2O5バッファ材での試験を行っており、結果は当日報告する。