抄録
高レベル放射性廃棄物の地層処分の性能評価において,オーバーパック閉じ込め機能喪失後にアクチニド等のα放射体が地下水に及ぼす放射線影響を定量的に評価し,不確実性を低減することが課題となっている。水の放射線分解で生成した過酸化水素は還元性の地下水を酸化させるおそれがあるが,オーバーパック腐食で発生した溶存水素により放射線分解が抑制される可能性も考えられる。α線照射での抑制作用については知見が乏しいことから、これを実験的に確認するため,原子力機構高崎量子応用研究所のイオン照射研究施設(TIARA)において,水素もしくはアルゴンガスをバブリングした水に50MeVのヘリウムイオンビームを照射し,比色分析により過酸化水素濃度を定量した。得られた過酸化水素濃度は水素の有無に関係なく照射線量に比例し,水素の抑制効果は観察されなかった。得られた結果に対し,実験およびモデルの両面から考察を行った。