抄録
高レベル放射性廃棄物(HLW)の処分は2000年の最終処分法制定とNUMO(原子力発電環境整備機構)の設立、2002年のNUMOによる文献調査への公募開始以降、処分事業、とりわけ処分場候補地選定について進展が見られないまま約10年が経過した。この間、日本社会は2011年3月の福島原発事故を経験し、原子力分野を取り巻く状況が大きく変化したが、その前後をまたいで、日本学術会議は内閣府原子力委員会からのに諮問を受けて、HLWの処分についての審議を行い、去る2012年9月に「回答」を取りまとめた。本発表ではその内容に示唆を受けつつ、HLWの管理・処分において、社会が取り組み、答えを出すべき課題は何か、その中でとりわけ技術的な貢献が求められるものは何か、再整理を試み、特に、工学と社会科学の間の対話や協働が求められる事柄を具体化することを試みる。