抄録
核融合炉中性子計測を念頭に,シンチレーティング光ファイバとマルチアノード型光電子増倍管を用いた指向性中性子検出器の開発を行っている.従来は束ねたシンチレーティング光ファイバの間に遮蔽材領域を設け,各ファイバ内で生成された反跳陽子が別のファイバにはエネルギーを付与しない状態として,単一の光電子増倍管により測定が行われた.各ファイバ内でのエネルギー付与量にしきい値を設定し,ファイバの軸方向に沿って入射した中性子による信号のみを取り出すことで指向性を持たせていた.一方本研究では,シンチレーティング光ファイバを密接配置してグループ化し,各グループを光電子増倍管の独立したアノードに接続する.各アノード信号間で非同時計数を行い,斜め方向に発生した反跳陽子信号を除去することで,指向性向上を目指している.本発表では,PHITSによる本システムの有効性評価結果及び中性子源による基礎実験結果について報告する.