農業気象
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研究論文(英文)
渦集積法のためのサンプリングシステムの開発
小森 大輔青木 正敏石田 朋靖鈴木 覚佐藤 隆金元 植
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2004 年 60 巻 4 号 p. 263-272

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抄録

渦集積法は直接的なガスフラックス測定法とされる。この測定法は高い応答性のガス分析計を必要とせず,また濃縮を必要とする微量ガスの測定も可能であり,微量ガスフラックスの測定に適している。しかし,鉛直風速に比例した空気量を高速でサンプリングすることは技術的に非常に難しい。そこで本研究では,渦集積法のためのサンプリングシステムの開発を目的とした。
本研究で開発したサンプリングシステムは,40 Hzで稼動するステッピングモーターに連結されたシリンジを用いて,上下方向の鉛直風速に比例して空気を別々にサンプリングすることが可能な設計になっている。また,開発したシステムはサンプリングされた空気を集積し,自動的に濃度を測定する機能を備えている。
開発したサンプリングシステムが高速で正確にサンプリングが可能であるか室内試験した結果,鉛直風速とサンプリング空気量に比例関係があり,ステッピングモーターを利用した高速吸引ユニットは,鉛直風速に比例して7 Hzで空気をサンプリングすることが可能であることが確かめられた。また,試作したサンプリングシステムを牧草畑での観測に供した結果,鉛直風速積算量とサンプリング空気集積量には比例関係があることがわかった。渦相関法で測定したCO2フラックスと渦集積法で測定したCO2フラックスには比例関係があり,これらの結果より開発したサンプリングシステムによってCO2フラックスを観測できることが確認できた。

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© 2004 The Society of Agricultural Meteorology of Japan
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