農業気象
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研究論文(英文)
トウモロコシ(Zea mays L.)の気孔コンダクタンスと通水コンダクタンスの相互関係
劉 利民今 久松岡 延浩小林 達明
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2005 年 61 巻 3 号 p. 143-152

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抄録

トウモロコシの気孔コンダクタンスと通水コンダクタンスの関係を調べるために,2004年夏の8月10日と11日にトウモロコシ畑において野外実験が行われた。この2日間に,気孔コンダクタンス,蒸散速度,体積土壌含水率,葉の水分ポテンシャルが独立に測定された。通水コンダクタンスは蒸散速度と土壌―葉の水ポテンシャルの差によって計算された。各項目の日変化及びサンプリングデータの標準偏差を調べることによって,データの信頼性が確認された。結果は,気孔コンダクタンスと通水コンダクタンスの間に強い正の相関を示した。2日間の決定係数はそれぞれ0.66と0.74であった。この2日間の通水コンダクタンスは,単位葉面積当り蒸散速度と強い正の相関があった。決定係数はそれぞれ,0.87と0.84であった。通水コンダクタンスと気孔コンダクタンスの関係を説明できる理由が議論された。蒸散に関係する両者の関係は,土壌水分ストレスのない条件で,気孔コンダクタンスと通水コンダクタンスの相互調節を起こしていると結論された。これらの結果は,2つの貢献をすると期待される。(1)現在の植物過程に関わるモデルの多くは,通水コンダクタンスを明確な形で取り扱っていないので,これらのモデルに通水コンダクタンスを組み込むことによってモデルを改良するだろう。(2)気孔コンダクタンスと関連する植物のガス交換に関わる通水コンダクタンスの調節メカニズムに新しい視点を供給し,SPAC水関係の理解を進めるだろう。

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© 2005 The Society of Agricultural Meteorology of Japan
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