農業気象
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北海道冷害の実相とこれが対策
村越 信夫
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1957 年 13 巻 2 号 p. 79-80

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抄録

昭和31年の冷害は地域によつて著るしい差異がある。即ち道東地区にあたるオホーック海沿岸と根釧原野は気温が平年に比し4~5度も低いために, 最も甚だしい被害をうけている。これから西に進むに従つて漸時その被害は少なくなつているが, 中にもはげしい冷害地が点点と散在している。しかし農村のなかに2~3農家が平年並の収量をあげているものがある。それらは長年月にわたつて農耕地の地力の増進, 土地改良を施したり, 経営部門の中に有畜化を実施してきたものであることがわかる。
水稲, 豆類の栽培には生育相のなかで冷害による被害の甚だしい時期を回避することを考えて, 播種期を調節し, あわせて耐冷性品種を選んで栽培し, たとえ収量は少なくても安全な結実を期待するように努めることである。
低温でよく生育し収量をあげることができる作物, 即ち麦類, 薯類, 甜菜, 亜麻, 瑞典蕪菁, 南瓜及び牧草などを長期輪作のうちに加えて必ず作付けして寒地農業の成果を発揮させることである。

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