筑後の三潴地区の一大特色であるクリークは, 現在の稲作と将来の国土利用の観点から重要な問題を包蔵しているので, その水温の解明を主目的に気象観測を1958年9月初めに実施した。クーリクは標準的規模である。
i. 水温は深さと時刻で決まり, クリークの中央や岸近くなどの位置的な差は少ない。
ii. 水温の時間的変化の明らかな範囲は1mより浅く, 直径25cm白円板の見えなくなる0.7m前後にほぼ近い。
iii. 当時は表暖底冷型 (日平均で表面29℃, 水底2.3mは26℃) であり, また一般地中や稲田よりもクリークは高温で, 初秋になお夏の熱が保持されている。
蒸発量や水面付近の諸要素の測定が不十分なため熱収支表は完成し得なかつたが, 予習的な目的は達した。
観測には著者らのほか, 九大農学部気象学教室の松田・高田, 九州農試気象研究室の船橋・日吉・中村, 福岡県農試筑後分場の森山・松岡・松永・井寺・中村の諸氏が従事した。筑後分場からは種々の御便宜をはかつていただいた。諸氏ならびに分場に深謝する次第である。
なお報告の取りまとめは主として佐藤が行なつたものである。