1975 年 30 巻 4 号 p. 161-166
群落光合成を計算法によって求める場合の基礎資料となるキュウリ個葉の光合成特性のうち, 光ならびに温度―光合成関数について実験的に検討した。品種は王金半促成で, 無加温ハウス内に栽培した。測定には堀江 (未発表) の作成した3連の個葉光合成測定装置を使用した。
結果はつぎのように要約される。
(1) 光―光合成曲線は葉令 (展開後日数) あるいは葉位によって異なり, 下層の老葉では弱光のもとで光飽和に達し, 光飽和総光合成量Pmの値も小さい。Pmの最大値は群落の中層から上層にかけてみられ, 葉令dの関数としてつぎのように近似される。
pm=23.8+1.248d-0.0361d2
(2) 双曲線関数で近似した光―光合成関数式に含まれている係数bの値はあまり大きな変化を示さずb≅110mgCO2dm-2hr-1/(calcm-2min-1) とみなすことができる。この係数値とPmを求める式を用いると, 任意の時期における群落の層別の光―光合成関数式を決定することができる。
(3) 光強度を0.6~0.7calcm-2min-1においたときの総光合成量の温度反応を相対値で示すと葉温Tlの関数としてつぎのように近似できる。
RT=0.0500Tl-0.00076Tl2
(4) キュウリ葉の形態形成に関係するパラメータ比葉面積は環境条件によって変化し, ポット栽培の値は普通に栽培されているものよりもやや小さい (葉が厚い)。ハウス栽培キュウリの比葉面積の平均値として300cm2g-1を採用してよいようわれる。