農業気象
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根雪終日の一推定法
桜谷 哲夫
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1977 年 32 巻 4 号 p. 171-176

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抄録

気象庁が1959年に「長期積雪」を定義するまで根雪の定義は各地で不統一であり, 当時のデータを吟味なしに使用することは大きな誤差を生ずるように思われたので, 気候資料掲載の気象要素を用いて根雪終日の推定を試み次の結果を得た。
1. 根雪終日の推定式はある基準日の積雪深と融雪の指標となり得る気象要素の2変数によって変わされるとした。
2. 前者は過去の研究例および資料の入手の容易さを考慮して3月の最深積雪を用いた。
3. 従来, 融雪の指標として日平均気温が用いられているが, 北海道の平地の場合は日最高気温を用いた方が融雪量の推定の誤差が小さくなることを見いだした。
4. 観測値と推定値を比較したところ, 推定式は北海道ばかりでなく本州の多雪地帯にも, 係数を若干変更することによりおおむね適用できるであろう。
5. 資料掲載の値および推定値によって, 北海道内4地点における根雪終日の経年変化を5年移動平均で示すと, Fig. 4でみるとおり, 1920~1940年以前は両者に大きな差を認め, 当時の値を現在の定義に照らし, そのまま用いることができないことを認めた。
6. 道内4地点における根雪終日の経年変化をみると, 網走を除き, 1960年代は過去70年と比べても早い傾向にあり, 1970年代はやや遅れる傾向にある。

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