農業気象
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温州ミカン樹の乾燥過程及び乾燥後のかん水による蒸散速度, 葉内水蒸気拡散抵抗と葉の水ポテンシャルの推移
間苧谷 徹町田 裕
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1977 年 32 巻 4 号 p. 203-208

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抄録

ポット栽植の温州ミカンを用い, 乾燥過程及び乾燥後のかん水による蒸散速度, 葉内水蒸気拡散抵抗 (RL) と葉の水ポテンシャル (ψ) の推移について検討した。
1. 比蒸散速度 (適湿土壤下の対照樹との比) の低下と日の出前の葉のψ (ψmax: 土壤水分の多少を示す) との関係はΔe (葉温での飽和水蒸気圧と空気水蒸気圧の差) の大小で異なり, Δeが大きい時は比較的高いψmaxでも比蒸散速度は低下し, Δeが小さい時はψmaxが相当低下するまで, 比蒸散速度の激減はみられなかった。
2. 蒸散速度と7.15×10-7Δe/RL及びVPD/RLの間には非常に密接な相関が認められた。特に, VPD(飽差)は測定が容易なことから, 現場においてVPD/RLで蒸散速度の推定を行なうことが可能と思われる。
3. 樹体乾燥後のかん水によって, 葉のψminは急速に回復し, 数時間後にはむしろ対照樹より2 barほど高くなった。しかし, RLの回復は非常におそく, このことが乾燥樹のψを高くしている原因と思われた。乾燥樹のψminが対照樹並みの値になった時は, RLも完全に回復した時であった。

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