農業気象
Online ISSN : 1881-0136
Print ISSN : 0021-8588
ISSN-L : 0021-8588
温室の冷房負荷に関する研究
(2) 夜間の冷房負荷軽減について
古在 豊樹權 在永林 真紀夫渡部 一郎新古 忠之樋口 春三
著者情報
ジャーナル フリー

1986 年 41 巻 4 号 p. 351-357

詳細
抄録

以下に示す条件下で, ヒートポンプ冷房システムによる温室の夏期夜間連続冷房を行った。
a) 床面全面に, 下に発泡スチロールを, その上にアルミ粉サンドウィッチPEフィルムを敷いて, 地表熱流量を遮断する。
b) 温室の外表面全体に塩化ビニルフィルムを気密に被覆して, 隙間換気伝熱量を抑制する。
実験結果は以下の諸項に示す通りである。
(1) カーテン開の場合, 内外気温差が6.6Kの時, 温室の冷房負荷は, 36kcal/m2(床面積)/hrであり, 単位内外気温差当りの冷房負荷は前報の約40%となった。ポリオレフィン系フィルム一層カーテン閉時の冷房負荷は開時の75%であった。
(2) 全測定日の平均値として, 温室の地表熱流量は約2kcal/m2/hrで, 隙間換気回数は0.3回/hrであった。Qcに占めるQs, QvおよびQtの割合は, 各々, 6%, 15%および75%となり, 前報のそれらの値である, 38%, 42%および20%と大きく異なった。
(3) カーテン開時の熱貫流率は平均値23kcal/m2/hr/Kであり, ポリオレフィン系フィルム一層カーテンを展張することによって, 70%まで小さくなった。
(4) 温室の外被覆の外表面における対流, 放射および潜熱伝達量は, 屋外気象条件に大きく左右された。

著者関連情報
© 日本農業気象学会
前の記事 次の記事
feedback
Top