農業気象
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ポット配置の相違がポット内土壌温度に及ぼす影響
鈴木 晴雄森近 勝美
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1987 年 43 巻 2 号 p. 135-142

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抄録

本実験では, ポットを個体ポットと群ポットに配置し, 配置の相違がポット内土壌温度に及ぼす影響をポットまわりの日射量の分布, 植被の有無の面から検討した。
実験においてはワグナーポット (1/2000a) を使用してポットの配置と植被の有無から, 個体植被ポット (No. 1), 個体無植被ポット (No. 2), 群植被ポット (No. 3), 群無植被ポット (No. 4), 及び裸地 (No. 5) の5つの実験区を設けた。得られた結果は1982年4月より7月にかけてのものである。
1) ポットの日射環境について個体ポットでは, ポット内地表面と壁面の両面に日射を受け, かつ壁面の各方位ごとに日射量が異なるのに対し, 群ポットではポットの地表面にのみ日射を受けており, 壁面での日射量は微少であった。また,群ポットの吸収日射量は個体ポットの50.4%と少なかった。
2) 無植被下でのポットと裸地間の比較では, ポットの土壌温度は裸地よりも日中は高く, 夜間は低くなった。また, ポット内土壌の日中における温度上昇は寒候期になるほど, 夜間の温度降下は暖候期ほど明確になり, さらにこの傾向は個体ポットの方が群ポットよりも顕著となった。
3) 日変化からみたポット内土壌の温度上昇度は日射の積算値と比例し, またその実測値は理論式によくあてはまった。植被のある場合, 無植被の場合よりも温度上昇度は小さくなり, またその程度は個体ポット (日射量500cal cm-2で10.0℃) よりも群ポット (同5.2℃) の方が顕著であった。

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© 日本農業気象学会
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