抄録
イネウンカ類はアジア各国の稲作の重要な害虫である。イネウンカ類の九州北部への長距離移動を予知するため, イネウンカ類が高度1,000-2,000mに現われる下層ジェット気流に運ばれるという仮説をたて, その移動モデルを開発した。毎年の飛来時期(6-7月)の毎日の気象条件を, 1980-1985年については21時の850mb面天気図を, 1986年については09時と21時の850rnb面天気図を用いて解析し, 飛来が予想される日を決定した。一方, 地上のネットトラップで得られたイネウンカ類の採集虫数から, 実際の飛来波を決定した。両者はおおむねよく一致した。21時の850mb面天気図に加え, 09時の850mb面天気図を用いることにより予測精度は向上することがわかった。最後に, 本方法による予測手順が示された。