農業気象
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反射スペクトルおよび熱赤外計測に基づく植生からのポテンシャルな日蒸散量と実日蒸散量のリモートセンシング
理論と予備的検証
井上 吉雄M. Susan MORANPaul J. PINTER JR.
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1994 年 49 巻 4 号 p. 237-246

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抄録

リモートセンシングによって植物個体群からの日蒸散量のポテンシャルおよび実際の値を評価するための新しい方法論を提示し, 実測データによる予備的検討を行った。本方法は, 植物個体群のポテンシャルな蒸散量が主に吸収放射量によって規定されており, かつ個体群の放射吸収能は葉面積指数から求めるよりも分光学的な遠隔計測によってより直接的に評価できるとの考え方に基づいている。すなわち本方法では, 遠隔計測される反射スペクトルから求めた植生指数 (SAVI) と日射量からポテンシャルな蒸散量を求め, さらに, 熱赤外放射測温に基づくストレス指標 (CWSI) を組み込むことによって, ストレス状態と実蒸散量を同時に評価する。各種の灌漑処理を行ったアルファルファ圃場, および自然草地において測定した反射スペクトル計測, 赤外線放射測温, ライシメータ, 渦相関法, および植物サンプリングによるデータを用いた予備検証の結果, 本手法の概念に基づいて, 分光データと基本的な微気象データの計測情報から, 広域にわたる植生のポテンシャルおよび実際の日蒸散量を評価できる可能性が示唆された。

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© 日本農業気象学会
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