ポリプロピレン長繊維不織布を用いてホウレンソウのべたがけ栽培とマルチ栽培を行い, 両被覆法の地下部環境と気温への影響を調査するとともに, 両被覆区および無被覆区における生育量を比較した。
べたがけおよびマルチは春季には地温を上昇させ, 土壌水分の保持力を高め, 土壌の硬化を防止したが, 夏季には地温への影響はほとんどなかった。べたがけは日最高気温を高めたが, マルチは気温にはほとんど影響を与えなかった。べたがけ区とマルチ区では春季のホウレンソウの生育が無被覆区より良好で, 両被覆法による地温や土壌水分量, 土壌の膨軟性の改善が生育を促進させたと考えられた。ただし, マルチ区の生育促進効果はべたがけ区に劣った。また, 夏季の作物生育はべたがけ区のみが劣った。このことから, 軟弱野菜の生育に対するべたがけ効果は, その一部が地下部環境変化に起因するが, 地上部環境変化の影響も無視できないとみられた。