農業気象
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ダイズ畑の2つの畝方位によって影響される水分と熱収支成分の比較
Md. Abdul BATEN今 久松岡 延浩
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1997 年 53 巻 4 号 p. 291-300

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抄録
作物が列状に栽培されるとき, それは土壌と植物を含む系の水分とエネルギー収支に影響する。1996年の夏期に, 作物が部分的に土壌を覆った状態のとき, 南北畝と東西畝のダイズ畑において水分とエネルギー収支成分について比較する実験を行った。水分とエネルギー収支成分は, 土壌と植物について別々に考慮された。畑, 土壌, 植物の水分とエネルギー収支の日毎の変化と一日の変化は列の方位によって強く影響を受けた。南北畝のダイズ畑で観測された平均潜熱フラックス (LE) は, 東西畝畑と比較して6.6%大きかった。平均された潜熱フラックスと純放射フラックスの比 (-LE/Rn)は, 東西畝畑と南北畝畑についてそれぞれ0.85と0.87であった。地中熱フラックス (G) は純放射フラックスに対して東西畝畑について14から20%, 南北畝畑について6から9%であった。東西畝の土壌面の純放射フラックス (Rns) は南北畝より25%大きかった。土壌からの潜熱フラックス (LEs) は, 南北畝と比較して, 東西畝で13%大きかった。-LEs/Rnsは両方の土壌面で1を越える場合がたびたびあった。土壌からの顕熱フラックスは両方の畑で, 土壌面が熱を吸収することを意味する正の傾向を示した。-G/Rnsは東西畝と南北畝でそれぞれ0.41と0.26であった。東西畝の植物の平均純放射フラックス(Rnc) は南北畝の植物に比べて20%小さかった。東西畝の植物からの潜熱(LEc)は, 南北畝の植物に比べて19%小さかった。-LEc/Rncは, 東西畝と南北畝について, それぞれ, 0.80と0.79であった。植物からの顕熱フラックスは両方の畑とも負の傾向を示した。結果は, 畑だけのエネルギー収支の測定は, 土壌と植物のエネルギー収支がどのように分割されるかについて十分な情報を与えないことを示している。
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© 日本農業気象学会
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