The Annals of physiological anthropology
Print ISSN : 0287-8429
急激な足関節底屈動作前にみられる筋放電休止期のメカニズムについて
柴田 真志森谷 敏夫
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1991 年 10 巻 4 号 p. 211-218

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抄録
微弱な張力発揮状態からランプの点灯にできるだけ早く強く反応して急激な足関節の底属動作を行った場合の筋活動を記録した。また,脊髄α運動ニューロン興奮度の指標となるH波を測定し,動作前に生じる筋放電休止期のメカニズムについて検討した。得られた結果は次の通りである。1)5名の被検者(SP)に筋放電休止期(SP)が観察され,他の5名(NSP群)ではみられなかった。SPは腓腹筋(LG)に比ベビラメ筋(SOL)で顕著にみられた。2)SP櫛の張力曲線勾配の最大値(32.3±24.9N/ms)は,NSP群(15.1±12.ON/ms)に比べて有意に大きく(p<.05),SPの出現は単位時間当リの大きな張力発揮に貢献することが示された。3)SP群において,SPの出現に約40ms先行してH波の振幅が低下した。このことは,筋紡錘やゴルジ腱器官などの末梢からの入力に関係なく脊髄α運動ニューロンの興奮度が減少することを示しておつ,SPの出現が上位中枢に起因することを示唆するものである。
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© 日本生理人類学会
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