日本エイズ学会誌
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外来エイズ患者・HIV感染者の診断地域・機関とその後の受療状況, 治療効果および性行動の変容
大阪市内の3医療機関, 2005-2006年
下内 昭後藤 哲志白阪 琢磨日野 雅之
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2008 年 10 巻 3 号 p. 206-214

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抄録
目的: エイズ患者・HIV感染者がどのように治療あるいは経過観察を継続し, その結果, 病気の進行が抑えられ, 免疫状態が維持されているか, また性行動の変容が起きているかを把握する.
対象及び方法: 2005-2006年に大阪市内の3病院で外来受診したエイズ患者・HIV感染者に対して, アンケート調査および診療録調査を実施した.
結果: (1) 診断時の検査受検状況および性行動に関する調査
3病院合計127名のアンケート回答を得た.ほとんどが男 (97.6%) であった.大阪市在住者の検査地域は大阪市 (85.1%) が最も多かった.検査結果判明から医療機関受診までの期間は, 1ヶ月以内がほとんど (93.596) であった.1週間以内の割合は, 保健所・保健福祉センター (48.4%) より, 医療機関で判明した場合の方が (81.5%) が高かった.HIV陽性判明前と比較すると, 大半 (77%) が感染危険度の高い性行為を減少させていた.特に, 感染危険度の高い性行為の減少率は保健所・保健福祉センターで診断された者は (80.6%), 医療機関で診断された者 (65.6%) より有意に大きかった (x2検定, P<0.05).
(2) 受療状況および治療の効果に関する調査
3病院合計59名のエイズ患者・HIV感染者について結果を得た.2005-2006年の未受診率は18.5%で, HAART療法実施者35名の中断者は2.9%であった.治療結果は, 症状も検査値もそれぞれ (88.2%, 81.3%) 大半が改善あるいは不変であった.
結論: 早期発見・早期治療が進むことによって, 二次感染の機会が減り, 将来的には感染者の減少にもなるので, HIV検査の機会をさらに増やすことが重要である.
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