日本エイズ学会誌
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デルファイ法による調査結果からみたHIV/感染AIDS疫学像
中村 好一松山 裕城所 敏英梅田 珠実岡 慎一木村 博和鎌倉 光宏市川 誠一橋本 修二福富 和夫木村 哲木原 正博
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2000 年 2 巻 2 号 p. 127-133

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抄録
目的: 通常の疫学調査では入手することが困難なHIV感染/AIDS疫学像を推測する.対象及び方法: HIV/AIDS分野の研究者を中心とした60人を対象にデルファイ法による調査を行い, 最終的には45人の意見をまとめることができた.
結果: エイズサーベイランスにおけるHIV感染者の捕捉率は10~20%という回答がほとんどであり, サーベイランスに報告されない理由として本人が感染を意識せずに検査を受けない, と考えている者が多かった. HIV感染者数増加傾向の頭打ち現象は, 25人は2010年までには見られると考えたのに対し, 19人は少なくとも2010年までは増加傾向が続くと考えていた. ほとんどの回答者が, 日本人における異性間性的接触による感染は男女とも今後も増加すると考えていた. 24人が近未来のワクチン開発が可能と考え, 13人が根治療法開発可能とし, いずれもその時期は2010年に集中していた. 3剤併用療法導入により感染から死亡までの期間は約5年延長すると推測された.
結論: 通常の疫学調査では明らかにできないHIV/AIDS疫学像について, 研究者の意見を集約することができた.
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