抄録
SIVmac239株Env Gpl20のC2V3領域に付加するN結合型糖鎖は, ウイルス感染性の発現に必須である. 一連の糖鎖変異体を用いた生化学解析, およびGp120分子モデルを用いた立体構造解析により, C2V3領域の糖鎖はEnv前駆体の高次構造形成と成熟には必要ないこと, 完成したGp120分子もしくはGp120-Gp41複合体の機能発現に関与する可能性があること, の2点が判明した. これらの知見は, レンチウイルスGp120に多数付加する糖鎖について, 免疫逃避以外の役割を調べる基盤となる.