2024 年 6 巻 2 号 p. 19-30
〔はじめに〕 看護基礎教育においては,発達障害の学生に対する支援で臨地実習がもっとも学習困難があると報告されている。そのため,臨地実習において特別な配慮を必要とした学生に対して看護教員が行っている指導上の対応について,教育の経験年数の違いから実態を明らかにすることを目的に調査を行った。
〔研究方法〕 教員が専門とする領域の偏りがないようにするため教育経験年数を考慮し機縁法により,研究者が対象者を選定した。研究対象はA県内3地区の教育経験年数6年以下の看護教員18名,教育経験年数7年以上の看護教員16名である。教育経験の年数に応じて,臨床実習において特別な配慮を必要とした学生の特性とその対応について,グループインタビューを実施した。
〔結果〕 特別な配慮を必要とした学生に対する対応として,教育経験6年以下の教員は【学生と教員の関係性の構築】【学習の動機づけができる関わり】【学生の個性に配慮した丁寧な関わり】など17サブカテゴリーから6カテゴリーが抽出された。教育経験7年以上の教員の対応は【学生と適切な距離をとる】【他の学生を考慮した関わり】【若手教員の育成】など33サブカテゴリーから8カテゴリーが抽出された。
〔結論〕 臨地実習における特別な配慮を必要とした学生への支援は,教員経験年数に関わらず同じような支援を行っていたが,その他に教育経験が長い教員は,他の学生を考慮した関りや若手教員の育成のための支援を行っていた。