昭和病院雑誌
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麦角系ドーパミンアゴニストにより胸水をきたしたパーキンソン病の一例
牟田 好博久澄 太一鵜木 秀明川井 元晴
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2004 年 1 巻 1 号 p. 1-6

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抄録

近年、抗パーキンソン病薬の開発が進み、パーキンソン病の予後もかなり改善されてきているが、同時に日常臨床において、抗パーキンソン病薬による幻覚・妄想・嘔気等の様々な副作用もしばしば経験するところである。今回、私達は麦角系ドーパミンアゴニスト製剤(EDA)により胸水貯留を認めたパーキンソン病の1例を経験したので報告する。症例は69歳男性。1981年にパーキンソン病の診断を受け、1992年より当院にて入院加療を続けている。2002年5月よりペルゴリド(ペルマックス)投与開始し、寡動の改善みたため徐々に増量したところ、2003年3月に呼吸困難・喘息等の症状が出現した。それ故、利尿剤投与と共にペルマックスを漸減し中止した。同症状は速やかに消失したため、6月よりカベルゴリン(カバサール)を投与したところ、やはり同様の副作用みたため利尿剤投与とともにカバサールを中止すると改善した。EDAによる胸水貯留については、ブロモクリプチンによるものが多数報告されているが、ペルゴリドやカベルゴリンによるものはまだ少ない。頻度は少ないものの厳重な注意が必要であり、さらにまた1種類のEDAで副作用が出現した場合には、類薬の使用は困難であると考えられた。

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© 2004 医療法人茜会・社会福祉法人暁会学術委員会
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