昭和病院雑誌
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PEGボタンの事故抜去により広範な皮下気腫をきたした一例
豊田 昌弘平野 英保吉水 卓見
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2007 年 3 巻 2 号 p. 112-117

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抄録
特別養護老人ホーム(フェニックス)入居者(84歳女性)で多発性脳梗塞の既往がある。PEG(Percutaneous Endoscopic Gastrostomy)造設していた。3年6ヶ月後の朝に、38.7℃の熱発と血圧が70台に低下し、気分不良の訴えがあったため、勝山クリニックを受診した。 胸腹部に指圧性の捻髪音を広汎に聴取でき、胸写にて泡状の陰影を左前胸部皮下に多数認めた。 PEGボタンの事故抜去に続発した胸腹部皮下気腫・蜂窩織炎・腹壁膿瘍の診断のもとに、胃内より腹壁内へ逸脱していた旧PEGチューブを抜去し、旧胃瘻よりセルシンガーPEGキットのガイドワイヤーを挿入、内視鏡にて確認後ダイレータで拡張後カンガルーボタンtype II 2.5cm を挿入し、さらに皮膚の瘻孔を1cm横切開延長しドレナージを行い、鮒田式固定法で胃を腹壁にナイロン糸2針縫合固定した。 7日目に発赤硬結を切開。同部位より出血、ワーファリンを中止とし、MAP2単位輸血した。 切開、排膿、ドレナージを繰り返し、約4回の弛張熱を乗り越え74日後治癒判定退院とした。
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© 2007 医療法人茜会・社会福祉法人暁会学術委員会
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