抄録
福田・成田(2009)は,「他者に対するコミュニケーション行動をどの程度上手くできるかという個人の確信」を対人コミュニケーション効力感と名付け,尺度を作成した(項目内容はTable1を参照)。本尺度で測定する対人コミュニケーション効力感は,記号化(=メッセージの伝達)と解読(=メッセージの理解)の2側面から成り立っている対人コミュニケーション(大坊, 1998),と「ある行動に対する遂行可能性の認知」である自己効力感(Bandura, 1977)を組み合わせた概念である。本研究では,対人コミュニケーション効力感の基本的性質を記述することを目的とし, Big Fiveモデルとの関連を調べた。パーソナリティとの関連を見ることで,対人コミュニケーション効力感を高く認知している人の特徴が明らかに出来る。それは,対人コミュニケーション効力感の高低に関わる要因をより詳細に明らかにする際に役立っだろう。