疫学研究における診断基準確立のプロセスを明らかにすることを目的とした。川崎病、およびスモンにおける事例について、診断基準確立期の状況を知る関係者にインタビューを行うとともに、資料・文献などの検討を行った。その結果、川崎病においては、臨床家からの聞き取りなどを行いながら疫学者が診断の手引きの文章を作成して診断基準が確立した。その後、疫学研究の結果により、診断基準の改定が行われた。スモンにおいては、臨床家が中心となり診断基準が確立した。その後、疫学研究の成果により国際的に病因が認知されることとなった。疫学研究は典型的な量的研究であるが、その最初のステップである診断基準の確立において質的プロセスが重要な役割を果たしていた。