海洋理工学会誌
Online ISSN : 2188-3262
Print ISSN : 1341-2752
ISSN-L : 1341-2752
原著
GEOSAT高度計資料による北太平洋における波の伝播の解析 一時空相関法の適用一
諏訪 純杉森 康宏福島 甫Pankajakshan Thadathil
著者情報
ジャーナル フリー

1995 年 1 巻 2 号 p. 80-98

詳細
抄録

GEOSAT高度計資料に時空相関法(TSCM:Time-Space Correlation Method)を適用し,北太平 洋における東西.南北両方向の波の伝播を解析した。東西方向の伝播については,155°E以東の 海域についてはロスビー波の理論でほぼ説明ができるが,155°E以西についてはロスビー波の理 論で説明することは出来なかった。南北方向の伝播については,155°E以西については黒潮続流 が周辺海域のエネルギー源になっていることが示されたが,155°E以東についてははっきりした 伝播傾向は見られなかった。また,155°Eから170°Eの海域に見られる北向きの伝播は,実際の 伝播ではなく,西向きの位相速度が北に向かうに連れて減少することによって生じる見かけ上の 伝播である可能性が示された。TOPEX/POSEIDONなどが提供する新たな高度計資料に,時空相 関法を2次元に拡張したものを適用することにより,海洋変動場がより明確に捕えられることが 期待される。

著者関連情報
© 2018 海洋理工学会
前の記事 次の記事
feedback
Top