Archivum histologicum japonicum
Print ISSN : 0004-0681
歯牙への上皮接着の下の刺戟された結織細胞の変化を二十日鼠にて観察
小野 一
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1957 年 12 巻 1 号 p. 71-85

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抄録
二十日鼠にては歯牙への上皮接着の附近の健常な結合組織には細網細胞と線維細胞が基礎をなしている. 歯牙と上皮の間を浅く開いてオリーブ油に溶かしたクロトン油を暫く入れるだけでも, 結合組織の細胞に変化が起るが, 変化はその部分に切創を作ってアルコールに溶したクロトン油を10秒間入れたり, またヂフテリートキソイド又は葡萄球菌トキソイドを注射したりすれば強く起る. 即ち上記の基礎細胞から闘病に有力な, 云わば菌敵細胞である網組球と線組球を経て組織球ができ, また刺戟が甚だ強い場合には小形の単球様細胞が多く生ずる. 変化の高期から恢復期にかけて網組球, 線組球, 組織球の胞体に大きな空胞が現れる. それ等の細胞の胞体の一部が小空胞を持ち又は持たないまゝ外に離れ, また大きな空胞が外界に開くのが屡ばであり, その細胞の表面は裂け目や割れ目を多く持つようになる.
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© 国際組織細胞学会
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