Archivum histologicum japonicum
Print ISSN : 0004-0681
成人睾丸及び副睾丸の神経分布に就て
千坂 順太郎
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1958 年 14 巻 3 号 p. 425-439

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抄録

成人に於ても胎児の場合 (佐藤) と同様に副睾丸体及び尾部の神経は精管神経叢に, 頭部及び睾丸の神経は精系神経叢に由来する. 前者は植物神経線維丈から成るが, 後者は更に仙骨神経から来ると思われる知覚線維をも含み, 従って副睾丸頭と睾丸とには知覚線維が証明される. 而も多数の知覚線維を含む神経束も所々に発見される.
副睾丸及び睾丸に於ても植物線維の終末は終網で表わされる. 終網は平滑筋線維や Leydig 氏細胞に対し専ら接触的主宰関係を示す.
知覚線維の中には極めて強力な髄鞘を所有するものもある. そして睾丸に向うものの大多数は睾丸網の中に入り, その結合織内に又は上皮の中に非分岐性又は単純な分岐性終末に移行して終る. 尚お上皮内線維の中にも甚だ太い線維の見られる事は興味深い.
睾丸中隔内に来る知覚線維の中には睾丸網を通り更に白膜内に進みその漿膜下膜内に専ら非分岐性終末として終るものもある. 然し睾丸実質内には知覚終末は証明されない.
副睾丸頭では睾丸固有鞘膜の内臓板の中のみならず輸出小管の中にも胎児に於けると同様知覚線維及びその終末が発見される. 終末はここでも非分岐性及び単純性分岐性終末によつて表わされる. 但し終末枝は小管の基底膜を通し更に上皮の中迄は入らない. 固有膜鞘内の知覚終末は平等には分布されず, 著明な場所的差異を示す.

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© 国際組織細胞学会
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