Archivum histologicum japonicum
Print ISSN : 0004-0681
犬の篩骨に分布する知覚神経終末について
川田 信平岡野 真臣
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1959 年 17 巻 4 号 p. 609-615

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抄録

犬の篩骨に分布する知覚神経終末を, 特に余等の撰択した鍍銀法で検出した. 1部は微細構造を追究するため鍍銀液で塊染してから超薄切片にして好結果を得た. 篩骨を解剖学的に側塊と篩板の2部に分けて検索した.
1. 側塊.
嗅上皮. 側塊の嗅上皮中には, 支持細胞よりも嗅細胞が比較的多く包含されている. この割合は篩板を離れるにしたがって反対となり繊毛をもったやや太い形の細胞となる. 嗅細胞は, 一般に中央球状の膨隆を呈し, 基底部に1条の繊細な繊維をもっている. この繊維は粘膜固有層に集まる. そして2-3集束して細繊維束をつくる. またさらに樹枝状の集束を形成して次第に太さを増しているのを見た.
粘膜固有層. この層には多量の嗅腺と毛細血管があり, ここに繊細なる単繊維が分布している. またやや太い神経繊維束は網状に纒絡しているのを見た.
2. 篩板部.
篩板部では, 前述の嗅上皮の繊維, 粘膜固有層で集束した繊維などが, いずれも樹枝状に集束しつつ太さと数を増して篩骨に集ってくる. これらの繊維束は有髄神経繊維, 無髄神経繊維, 裸出繊維の交雑したものである. そしてこの繊維束は篩骨孔を通過している.

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© 国際組織細胞学会
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