Archivum histologicum japonicum
Print ISSN : 0004-0681
人の表皮の超構密度の部位的差異と汗腺細胞の超構密度に就いて
沢近 巽
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1951 年 2 巻 1 号 p. 37-49

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抄録

表皮の胚芽層の構密度は概して表皮の厚い部に高く, 薄い部に低い. 部位的には四肢の末端に最も高く, 次で四肢のその他の部分, 頭部, 顏面, 躯幹と低くなり, 陰部附近と口唇に最も低い. 顆粒層, 透明層, 角質層の構密度は何れも角質層が厚いところに少しく高い. 離出汗腺の筋上皮細胞と腺細胞の構密度は漏出汗腺のものより少しく低く, 分泌後にはその腺細胞の構密度が更に下る. 腺体を取り卷く結合組織と固有膜の構密度は両腺ともに大いに低い. 導管の2層の細胞層は眞皮内では腺体の細胞より構密度がやや高い. 導管はその外細胞層を胚芽層の基底層に移行し, 内層のみが管を形づくつて表皮を上昇する. この管はこれを同心性に取り圍む周圍の胚芽層細胞より構密度がやや低いが, 周圍の細胞に先じて角硝子粒子を生じ, 構密度が高くなる. 導管は粒子層と胚芽層の部ではこれを穿通するが, その際粒子層と透明層は管を取り卷いて漏斗状に下降する. 角質層では汗腺導管の細胞層が最も構密度が高く, その細胞は扁平な角小板である. 更にこの外にこれを同心性に取り卷く5-6層の著しく構密度の低い管壁外層がある.

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© 国際組織細胞学会
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