Archivum histologicum japonicum
Print ISSN : 0004-0681
エチルウレタンのマウス胎仔手板前軟骨細胞の核分裂に対する効果
仁村 博晃西村 秀雄
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1960 年 20 巻 2 号 p. 177-179

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抄録
エチルウレタンが細胞分裂に対し特異的に働く毒物であることは古くから知られている. 近年 Nishimura 等 (1953) によってエチルウレタンの妊娠マウスに対する一過性適用がその胎仔に高い頻度で多型且つ強度の指趾, その他骨系統の奇形を形成することが明かとされた.
このような指異常の初期の発生過程を明かにすることを企図し, エチルウレタン適用後短時間後における指原基の核分裂の状況を調査した.
妊娠12日に10%エチルウレタン水溶液の腹腔内注射を行い, その後7時間迄種々の時間を経た際の胚の手板の分裂各期の前軟骨細胞を求めたところ, 投与7時間後において各期共に顕著な核分裂数の低下を認めた. 故にエチルウレタンはこの場合トリパフラビン型の効果を示したと認められる. 従ってエチルウレタンの投与により惹起される胚の指骨異常の発生過程には, その原基細胞の核分裂の阻碍が与るものと考えられる.
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© 国際組織細胞学会
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