抄録
この頃の組織学は一方では電子顕微鏡の範囲を超えて, 分子と原子のレベルにまで進む傾向にある. 形態学的には, その究明によい手段が少ないので, 難渋するが, それだけ究明の意慾がつのるようである. 標題に新用語「超電子鏡的」を冠して, 私の経験に基づき, 次のことを述べさせてもらった.
1. 分子などの双極子の観察の仕方と双極子により起こされる現象の例.
2. 境界膜を形づくる分子の並びと膜の構造の不対称性.
3. 変性する生活物塊から脂質が離混することの証明法と実例.
4. 電子顕微鏡で判らぬ微細な物象構造の間隙の広さを数種の酸性染料を使い,普通の光線顕微鏡下に簡単に比較することの要領. その広さはおよそ0.4-1.2mμ位と推知される.