Archivum histologicum japonicum
Print ISSN : 0004-0681
組織培養による小脳顆粒細胞の研究-その同定, 変性および周細胞体ミエリン
末岡 修岡本 道雄
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1966 年 27 巻 1-5 号 p. 117-130

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抄録
組織培養下の小脳顆粒細胞の同定を試み, 次の結果を得た.
1. 生後10日以上のマウス小脳皮質を培養したさい出現する細胞質の乏しい小型細胞は, 次の理由により顆粒細胞と同定しうる. すなわち, (1) 培養下に多数認められること, (2) 生体内のものと酷似した核をもつこと, (3) 鍍銀法により顆粒細胞に特有な突起が認められるが, 胎生顆粒層の細胞が見られぬこと, さらに (4) 胎生顆粒層のすでに消失した生後20日目のマウスを培養したさいにも同様な細胞が認められることなどである.
2. 新生仔を培養した場合, 培養下では顆粒細胞と胎生顆粒層の細胞の鑑別は一般に不可能である.
3. 稀突起膠細胞は培養下においては顆粒細胞との鑑別が極めて困難である.
4. これら培養顆粒細胞は, ほかの神経細胞にくらべて種々の悪条件に対しとくに敏感に反応し, 容易に変性, 消滅する.
5. これら顆粒細胞中に, 細胞体周囲にミエリンをもつものがしばしば認められる.
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© 国際組織細胞学会
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