Archivum histologicum japonicum
Print ISSN : 0004-0681
シロネズミのリンパ節洞内の肥満細胞
倉重 千鶴香橋本 長幡井 勉
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1966 年 27 巻 1-5 号 p. 345-350

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抄録
シロネズミのリンパ節洞内に多数の肥満細胞が集団をなしているのがみとめられた. 固定は4%醋酸鉛およびホルマリン-アルコール, 染色はアザン, Luna の aldehyde fuchsin, astra blue-safranin O (以下ABS) などである.
アザンでは, 他の一般結合組織中の肥満細胞が黄または橙色に染まるのに反して, リンパ洞内のそれは青色に染まる. ABSでは astra blue をとって青色になるものが多い. 生后2週以内の授乳期のネズミは青色のものばかりである. 関のアザン染色の理論およびABSに対する染色態度から考えると, これらの細胞は未熟型であろう. またその起源は洞内の細網細胞であると考える.
なおハツカネズミ, ウサギ, モルモット, ネコ, イヌ, サルおよびヒトでも, リンパ節洞内の肥満細胞がみとめられた. 胸および頸部リンパ節に多く, 他のリンパ節ではきわめて少ない. 感染に対する生体防禦反応の一翼をになっているのであろう.
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© 国際組織細胞学会
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