抄録
小脳の糸球体に存在する苔状線維終末 (以下 終末 と略す) の生後変化を, ハツカネズミとネコを用い, ホルマリン灌流固定を行なって電子顕微鏡で追求した.
1. 終末は生後5日頃に認められ4週中にほぼ成熟域に達する.
2. 幼若終末には電子密度の高い200-400Åの顆粒が存在する. この顆粒を含む終末と顆粒の量は動物の発育に伴なって漸増し, 生後10日から13日に最大となり, 15日以降漸減して3週後にほとんど消失する.
3. この顆粒はいわゆるグリコゲン顆粒に酷似するが, 従来の同定基準に一致した電子染色性を示さない. この差異は固定法の相違によるものと見られ, 種々検索の結果本顆粒をグリコゲンと同定した.
4. なお, 幼若終末内でのグリコゲンの存在と消長の意義について言及した.