Archivum histologicum japonicum
Print ISSN : 0004-0681
ラッテ腸管におけるチアミンピロフォスファターゼ活性の超微局在
斉藤 多久馬小川 和朗
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1966 年 27 巻 1-5 号 p. 473-484

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抄録
正常成熟ラッテの空腸, 回腸および結腸におけるチアミンピロフォスファターゼ (TPPase) 活性を, NOVIKOFF と GOLDFISCHER (1961) の方法を用い電子顕微鏡のレベルで検出した. TPPase 活性は吸収上皮細胞と杯細胞のゴルジ装置に強く認められた. 活性を示す燐酸鉛の沈殿はゴルジ装置を構成している槽, 小胞および空胞のすべてに認められた. 槽, 小胞, 空胞における燐酸鉛の居在場所はそれらの内腔に限られ, 外側すなわち細胞基質側には存在しない. さらに TPPase 活性は杯細胞の分泌周期に関連して変動を示すことが判明した. すなわち, 分泌物の合成を盛んに行なっている若い成熟しつつある杯細胞では活性は強く, 放出寸前の分泌物を豊富に貯えている, 成熟した杯細胞では比較的弱い. ゴルジ装置に比較するとはるかに弱いが, 酵素活性が吸収上皮細胞の小胞体とくに粗面小胞体および核膜に認められた. このほか酵素活性は, 粘膜固有層内小血管の内皮細胞および筋層内平滑筋細胞に存在している嚥飲液胞 (pinocytotic vesicle), 粘膜下組織内無髄神経線維とシュワン細胞の間隙などに認められたが, これらの箇所に認められる酵素活性の本質について簡単に言及した.
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© 国際組織細胞学会
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