Archivum histologicum japonicum
Print ISSN : 0004-0681
カイウサギ青斑核の電子顕微鏡的研究
とくに視床下部および中脳よりの直接投射について
水野 昇中村 泰尚
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1972 年 34 巻 5 号 p. 433-448

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抄録

カイウサギ青斑核の微細構造, ことにシナプス構成を 電子顕微鏡により 実験形態学的に追究した.
軸索-細胞体シナプスは 軸索-樹状突起シナプスに比べて少なく, 軸索-軸索シナプスは見られなかった. 扁平小胞を含むシナプス終末は 円形小胞のみを含むシナプス終末に比べて少く, また 前者では後者に比べ相称性シナプスの特徴を示す傾向が大であった. これらのシナプス終末には, 多くの場合 少数の直径500ないし1,000Åの含粒小胞が見られたが, 前シナプス膜に接して存在する含粒小胞は まれに細胞体の中にも見られた. “nucleolus-like body,” “subjunctional body” および結晶様配列を示す円形シナプス小胞が まれに見られた.
視床下部, 中脳中心灰白質または中脳被蓋背側部を 脳定位的電気凝固により損傷して後, 3日または4日生存させたカイウサギにおいて, 傷と同側の青斑核内に電子密度の高い軸索-樹状突起性の変性終末が見られた. これらは通常 円形シナプス小胞を含んでいたが, 中脳損傷例では やや扁平なシナプス小胞を含むものも まれに見られた. 軸索-細胞体シナプス終末の変性は見られなかった.
視床下部および中脳より青斑核にいたる直接投射の機能的意義について考察した.

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© 国際組織細胞学会
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