Archivum histologicum japonicum
Print ISSN : 0004-0681
サルの膵臓の微小循環, とくに膵島-腺房門脈系について
走査電子鏡による血管鋳型の研究
藤田 恒夫村上 宅郎
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1973 年 35 巻 4 号 p. 255-263

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抄録

アカゲザル膵臓の血管のメタクリレート鋳型を走査電子鏡で観察した. 鋳型の微小解剖と電子鏡観察とをくりかえして, 順次深部の構造を観察することができた.
小葉内動脈の枝が1本ずつ膵島にはいる. 膵島は不規則に膨隆する毛細血管の三次元的網工から成るが上記の輸入血管は深く侵入してその中心部に終る. このことは, サルのA細胞が島の中心部を占めることに関連している.
膵島の周縁から多数の輸出血管が外分泌部へ放散し, ある距離を走ってのち, その毛細血管網につながる. この血管は島ホルモンをその最初の標的組織である膵外分泌部へ輸送するみちで, 膵島-腺房門脈とよぶべきものである.
外分泌部の毛細血管は多数の小静脈に移行し, これは小葉内静脈に集められる.
膵島の輸入血管は時に少枝を直接外分泌部に与えることがある. しかしこれを除外すれば, 外分泌部が受ける血液はすべて島の毛細血管から来ることになる.

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