Archivum histologicum japonicum
Print ISSN : 0004-0681
マウスの頸動脈小体に関する3H-ロイシン, 3H-ドパ, 3H-ドパミンおよび3H-ATPをもちいたオートラジオグラフィー: とくにパラニューロンとしての主細胞について
小林 繁
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1976 年 39 巻 5 号 p. 295-317

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抄録
主細胞のパラニューロンとしての特性を検討する目的で, マウス頸動脈小体での三重水素 (3H) で標識したロイシン, ドパ, ドパミンおよびATPの, 各種細胞への取込みを光顕および電顕オートラジオグラフィーを手段として研究した.
新生された蛋白質の存在を示す3H-ロイシン由来の放射能は, 頸動脈小体とその周囲組織のすべての種類の細胞に認められた. 主細胞の放射能は, 上頸神経節細胞のそれよりすべての時点で低かった. 電顕オートラジオグラフィーでは, 主細胞において, 特殊果粒の新生がおこなわれると思われるゴルジ野にも, また成熟した特殊果粒が貯蔵されると予想される細胞質周辺部にも, 3H-ロイシン由来の放射能の蓄積は認められなかった.
新生されたカテコールアミンの存在を示す3H-ドパ由来の放射能は主細胞と上頸神経節細胞と肥満細胞とに特異的に認められた. 主細胞での放射能の分布は大型芯あり小胞の分布とほぼ一致していた.
3H-ドパミン注射後には, 主として動脈周囲の神経終末に大量の放射能の取込みが認められた. また, 主細胞と支持細胞に接して同様の神経終末がみられることがあった. 一部の主細胞は3H-ドパミン由来の放射能を取込むが, 残りのものには取込みが認められなかった.
3H-ATPに由来する放射能は頸動脈小体とその周囲組織中のすべての細胞に見出された. 主細胞では, 他の細胞におけると同様, 核の放射能がもっとも強かった.
頸動脈小体主細胞は, 他のパラニューロンと同様に, その大型芯あり小胞または小型シナプス小胞の中に, 分泌物または興奮伝達物質として, ペプチドと活性アミンとATPの三者を同時に貯蔵していると仮定されるが, 今回の実験より, これらの産生および放出の速度はクロム親和細胞や胃腸内分泌細胞に比べると非常に遅いものと予想される.
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© 国際組織細胞学会
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