Archivum histologicum japonicum
Print ISSN : 0004-0681
走査電子顕微鏡によるカワヤツメ第三脳室壁の観察
塩田 清二本間 義治吉江 紀夫細谷 安彦
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1977 年 40 巻 1 号 p. 41-49

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抄録
遡河期のカワヤツメ (円口類) を用い, 第三脳室壁とその周辺域の表面構造を, 走査電子顕微鏡によって観察した.
側壁腹部, 漏斗陥凹底および後方陥凹部を除く第三脳室壁の大部分は, 上衣細胞のもつ線毛によって完全におおわれている. 側壁腹部をおおっている上衣層には, 微絨毛や線毛をそなえた多数の神経細胞の突出がみられる. この細胞は, いわゆる liquor-contacting neuron に相当するものと思われる. Tanycyte と同定される上衣細胞は, 漏斗陥凹底の後方部に認められる. この細胞の頂端には, 多数の微絨毛と線毛束があり, 基底の方は神経性下垂体の外層に向かって突起を伸ばし, 腺性下垂体との間の毛細管壁に終末している. これらの線毛束の基部には, 分泌物質様の小球体がみられた. 後方陥凹部は, 1層の上衣細胞と, 脳室壁へ突起を出した神経細胞とからなる.
哺乳動物に観察された脳室内大食細胞とみなされる Kolmer 細胞と相同と思われるものが, ヤツメウナギの脳室壁にもみられた.
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© 国際組織細胞学会
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