Archivum histologicum japonicum
Print ISSN : 0004-0681
頸動脈小体主細胞の神経支配に関する電子顕微鏡による研究の総説
近藤 尚武
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1977 年 40 巻 Supplement 号 p. 221-230

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抄録
頸動脈小体の超薄連続切片による観察の結果, これまで記載されてきた主細胞に終わる種々の型の神経終末 (多量の小胞を含有する終末, 多量の糸粒体を含有する終末, 大型および小型杯状終末) は, すべて1種類の神経線維から由来することが明らかにされた. 舌咽神経の頭蓋内切断による変性実験の結果は, 依然として相反するデータが存在するけれども, 主細胞を支配する神経線維は知覚性で, その神経細胞体は下 (節状) 神経節に存在するという見解を支持するようである. 主細胞と神経線維との間には2種類のシナプスが見出される: 遠心性または第1型と呼ばれるシナプスで、主細胞がシナプス後要素であるもの; 求心性または第2型と呼ばれるシナプスで, 主細胞がシナプス前要素であるもの. 単一の神経線維がこれら2種類のシナプスを形成し, そのうちで後者が圧倒的に多く形成されるという事実が, 超薄連続切片による観察の結果で明らかにされた. 主細胞上にみられる遠心性シナプスは, 多数の求心性シナプスを形成する知覚神経によって形成されており, 固有の遠心性神経によって形成されているのではないという可能性が強く示唆された. 主細胞と自律神経節内のSIF細胞とは, 神経とのシナプス関係において類似性をもつ可能性が示唆された.
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© 国際組織細胞学会
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