抄録
発情期の雌ラットの下垂体前葉プロラクチン産生細胞において, 有糸分裂中に分泌果粒が開口放出される電子顕微鏡像をとらえた. 微細な有芯小胞状を呈する未熟果粒が, 染色体の間, あるいは紡錘微細管の付近に観察される. 分裂に際しゴルジ装置は分断されるが, その要素は 主として小胞から成り, 細胞の辺縁部に存在する. 粗面小胞体は大部分が小胞化するが, 細胞辺縁部には層板状の槽の集積も残存する. 下垂体前葉の完全に分化した細胞も有糸分裂を行ない, その間も分泌機能すなわち分泌果粒の形成と放出を継続することができる.